Twitterにてこんなツイートを発見しました。
「なんだこの胸熱なセミナーは!!」と思い当日午後の休みとセミナーの申請をしました。
今回このセミナーを受けての感想を紹介します。
※ライブ中のスクリーンショットは撮ったのですがセミナー自体が限定公開だったため、画像の掲載はしていません
※テルえもんさんに許可を頂いたので画像と登壇者の名前を追加しました。
セミナーについて
テルえもんさんがnoteに内容を公開してくれています。
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内容は大きく分けて以下3部構成になってます。
- Unityでの事例紹介
- 3DCADデータの取り込み
- 岩手県内企業の事例紹介
セミナーの感想
当日を迎え、セミナーの内容とその感想について紹介します。
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挨拶
まずはいわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長を務めるテルえもんこと小原照記さんの挨拶から始まりました。
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Fusion360の教本ではお世話になりました。
Unityの産業分野での活用と事例紹介
登壇者はユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の事業開発統括マネージャ 産業分野担当の中嶋 雅浩(なかじま まさひろ)さんでした。
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最初はUnityの沿革、Unityがどれだけ使われているかの紹介がありました。
続いてユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の会社紹介がありました。
従業員は100名ほど居るそうですが8割強がゲーム関連で産業分野は2割ほどだそうでした。
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登壇者本人の自己紹介に流れ、デジタルツインの紹介に進んでいきました。
今までのCADデータの活用は限られた使い方しか出来なかった事がデジタル技術の進化により可視化や仮想空間上での検討が容易になり、これらを使ったデジタルトランスフォーメーション(DX)を使ったビジネス展開が必要になってくる。
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Unityはもともと色々な物を組み合わせるために作られたツールのため、このDXをUnityを使えば容易にできるという内容でした。
そして事例紹介に進み、以下の内容を動画で見る事が出来ました。
- 仮想空間上に車を走らせる
- 建設現場でARを使った施工管理を行う
- 3Dを使った商品情報
- 車の中のインターフェース開発
- MR(HoloLens)を使った実機上でのガイド(教育)
- ビッグデータを使ったリアルタイムな可視化
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更に動画以外でも事例紹介が続きました。(以下の内容は公開されていたのでリンクも置いておきます)
- Honda のデザイナーが 1 日で美しいインタラクティブなプレゼンテーションを作れるようにした仕掛け
- VRをすぐに作成できるInteract
- 製造業での Unity Forma 活用:機械の展示を行うバーチャルショールームの制作
- トヨタが Unity と Microsoft HoloLens 2 で実現した複合現実の魔法
最後にUnityでCADデータを活用しようとした時に、UnityはCADデータをそのまま読み込む事が出来ず、一旦ポリゴンデータに変換する必要があり、データの軽量化も同時に行ってくれるPixyz(ピクシーズ)についても軽く紹介があり、終了しました。
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<以下感想>
紹介の中に「色々な物を組み合わせるために作られたツール」と言われていたのが印象的で実際にUnityをいじってみて感じたのもまさにそれでした。
ハードウェアとの相性も良いようなのでどこかで試してみたいですね。
後はMicrosoft HoloLensが気になるのでこれらを使う機会があれば挑戦してみたいです。
3DCADデータをインポートしてのUnity活用方法について
次の題目は同じくユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社のプロジェクトマネージャーの小森 顕博(こもり あきひろ)さんから3DCADデータのUnity活用方法に移りました。
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まずは登壇者の自己紹介から始まり、Pixyzについての紹介が始まりました。
「CADデータ、巨大なポリゴンデータ、点群データを、Unityを始めとするリアルタイム3Dエンジンで、インタラクティブに見た目を損なうことなく扱えるようにする」という課題に対してPixyzが「色々な3Dデータをリアルタイム用にイイ感じに変換してくれるソリューション」を提供してくれるそうです。
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これらのデータをUnityへ取り込む事で3Dデータ活用の幅が広がります。
CADデータの取り込みには典型的な障壁となる異なるデータ(フォーマット)、メタデータ(補助線、注釈など)、複雑なアセンブリ(何万ものオブジェクトなど)があり、Pixyzではこれら障壁を乗り越えるためのノウハウやアルゴリズムが入っています。
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Pixyzには目的に合わせた製品群があり、それぞれどういった物かの説明があり、Pixyzがインストール済みのUnityを使ったデモに移りました。
PixyzはUnityのメニューに追加され、そこからCADデータの取り込みが出来るようになっています。
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CADデータを指定すると取り込みルールを指定するフォームが出て来てユーザー側で取り込み方法を指定できます。
取り込みのデモはここまででしたが実際にスクリプトを組んでおいた同じデータが準備されていて、キーボード操作による部品の動作を確認する事もデモしてくれました。
更に重力を付ける事で物が落下するところも見れ、デモも終了しました。
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<以下感想>
Unityはゲームエンジンなのでやはり基本的なデータはポリゴンデータになってしまうのは仕方ないですがCADデータがそのまま使えないのは残念ですね。
それでもPixyzを使う事で「イイ感じ」にポリゴンデータへ変換してくれるようなので一安心ですね。
ポリゴンデータとしてUnityに入ってしまえば様々な活用が出来るのでCADデータにPixyzは必須に思えました。
岩手県内企業のゲームエンジンを活用した事例紹介
最後の題目、岩手県内企業の事例紹介はいわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、テルえもんこと小原 照記(おばら てるき)さんからの紹介です。
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事例紹介の前にいわてデジタルエンジニア育成センターについての紹介、自己紹介があり、このセミナーを開催するきっかけが紹介されました。
最初の事例紹介は株式会社 村上商会 アドバンス事業部 ボディー (一関市) です。
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まずは会社紹介から始まり、6つの映像を使った紹介がありました。
- 開発案件にての運用(CADデータを使ったCG製作)
- 技術展示物案件でのARコンテンツ製作(車の色変更や付随情報の表示、実寸大のデジタル模型表示など)
- インタラクティブコンテンツ(ゲーム感覚のカーペイント体験コンテンツ)
- VRシュミレーター(座席連動)
- HMIインターフェース製作
- 技術訴求展示モデル HMIインターフェース製作
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次の事例紹介は和同産業株式会社 (花巻市) です。
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同じく会社紹介と商品(ロボット草刈り機)紹介から始まり、事例紹介の映像を見ました。
映像の内容は除雪機で除雪している様子が流れており、除雪機が動いている様子が分かりやすく表現されています。
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Unityの画面に切り替わり、Unity上で除雪機を動かす様子が分かります。
映像の後は実際に映像を作った小森さんから説明があり、Pixyzでの取り込みとスクリプトを組んで除雪機の動きを再現したそうです。
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Unityを使う事でリアルタイムな表現が可能になるので雪の飛び方も参考にできます。
この後にテルえもんさんから和同産業のシマ(漢字が分からなかったのでカタカナにしました)さんに質問されていてクオリティの高さに驚いていて、お客さんへの説明にもこのまま使えると満足していました。
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他にもUnityで取り組みたい事を聞かれ、以下3点回答されていました。
- Unity上で検討する事で開発時のムダを無くし期間を短くできるのではないか?
- 製造工程のレイアウト変更時の人や物の流れを事前に確認する事に活用できるのではないか?
- 安全講習、メンテナンス講習で具体的に示せるのでは?
締めくくりにテルえもんさんからUnityを活用するメリットを挙げられました。
- キレイな画像や動画を作れることによるプレゼンテーション
- VR/AR/MRの活用
- 物理エンジンを活用したシミュレーション
これらを行う製造業の専用ソフトよりも安価にはじめることができるのが魅力。
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<以下感想>
いくつも事例紹介を見れてかなり満足でした。
これらの事例紹介だけでも横展開する事で喜ぶ企業が多いと思いました。
インタラクティブコンテンツはすごく良いアイデアだと感心しました。(これは真似したい)
最後に和同産業の方との質問でUnityで取り組みたい事の回答がまさにどこでも通用する困りごとだと思いました。
これらを聞いただけでもUnityの勉強意欲が向上しました。
質疑応答・アンケート
最後は質疑応答の時間です。
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Q1. HoloLens興味あります!!
A1. 第二世代になって使い勝手が良くなっており、ツールキットによるUnityの開発敷居はだいぶ下がっている。
Q2. 生産技術はまさしく自分の分野なのでいろいろな情報が聞けることを期待してます
A2. 組み付け方法のシミュレーションや干渉チェックが多い。プレス機への金型取付でフォークリフトが入れるか?人がどの立ち位置に居ると安全なのか?そういった側面に事前検討できる事は有効。
Q3. 夢があるなぁ
A3. 確かに何でも出来そうな夢はあると思いました。ゲームエンジンだけどゲーム以外に色々な事ができる。
Q4. Pixyz イイ感じ
A4. 3Dデータを「イイ感じ」に取り込めるのは大きい。PixyzはUnityに適したデータに変換してくれる。Pixyzを使わないで取り込むには熟練の技が必要になり大変だけどPixyzを使えばデモしたようにすぐ変換できる。Unityでは要らない隠れた面などを除去してくれるので、しっかり最適化すれば通常のCADデータと比べて100倍以上のスピードが出る。
Q5. CADで動きを見せるのは大変なのでUnity使う事で簡単に表現できそうですね
A5. 除雪機のデモであったように機械を動かすぐらいならCADでも出来るけど雪を舞わせる表現は出来ないとこなのでUnityを使ってアニメーション出来るのは良いところ。更にVRを使う事でハンドルの高さや車が家の車庫に入るかの検討もできます。面積に対して除雪にかかる時間なんかもある程度見れたりできますね。
Q6. スクリプトの設定(パブリック変数?)のところにスライダーが使えるのはすごく興味あります!!
A6. Unityエディターで見えているGUIは全てスクリプトで作られていて、数値の入力ではなく感覚的なスライダーの調節をしたいと思えば操作に応じて最適なGUIにできる。
Q7. あまり詳しくないので初心者質問になりますが、cadデータで扱えるファイルの拡張子に何があるかご教授いただけるでしょうか?
A7. たくさんありますw。汎用的な物はだいたい使えます。CATIA、SolidWorks、Creo、メジャーなところは全部あるんじゃないかなと思います。先端的なフォーマットもサポートしています。
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Q8. 防災系で使われている事例はありますか?
A8. 「【防災の日】正しく怖がり、正しく逃げるために――「AR災害疑似体験アプリDisaster Scope®」開発者・板宮朋基さん【Unityクリエイターインタビュー】」でなかなかすごい事例が紹介されています。自身が起きて窓が割れるシミュレーションや流体シミュレーションで水害が起きた場合の体験できる。ipadごしにどうなるか分かる。ARと物理シミュレーションを合わせる事でこういった体験ができる。
まとめ
と言う事で、約2時間のセミナーを受けてきました。
内容的にも参考になる事が多く参加して良かったと思います。
まずはUnityでどんな事ができるか実際に触っていき、多く想像・創造が出来るようになってこういう事例のような提案が出来るようになれたらと思います。
<2021/11/28 追記>
YouTubeといわて通信にセミナーの様子が掲載されました。
YouTube 製造業におけるゲームエンジン(Unity)活用術セミナー in 岩手県
いわて3D通信 レポートNo.125:製造業におけるゲームエンジン(Unity)活用術セミナー
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